
夢を理解するお手伝いにと、
奇想天外な夢らしい場面を、
一度徹底的に自分から離して、
分解し分析するために夢語辞書を作りました。
夢の象徴を単語で考えて欲しいと思ったからです。
しかし夢の事物を辞書で引いてみても、
夢が言わんとするところが分からないことがあります。
その時は、
夢が自分の現状を表しているのなら、
日頃の態度が夢に現れて、
それが問題を難しくしていると考えてみましょう。
自分の態度振る舞いに注目する訳です。
すると自分ならではの思考回路がわかり、
チャレンジの仕方に問題があるのだと気付くことができます。
そんな例をお話しましょう。
夢本体【誰とは分からない女性と一緒。
(しかし夢の中では親しい友人らしい。)
ふたりで船着き場の小屋で船を待っている。
その女性に、
「早く行こうよ」と言っても化粧してて動かない。
「もう船出ちゃうよ」と声をかけても動かないので、
「もういいや」と外に出たら、
小屋の前まで水があふれている。
水の被った一帯を不自由しながら船着き場に行くが、
足許がおぼつかない。
一瞬海の中に足を踏み外しそうになる。
気づいたら目の前の船は埠頭を離れてしまっていた。
残念と思う。】
この夢は2011年3月初めに見たそうで、
その後に東北大地震が起きました。
一瞬予知夢のひとつだと思ったでしょうか。
だとしても、
夢はどんな夢も自分へのアドバイスと受け取る必要があります。
この方はその頃どうしても自立を果たしたいと願っていたのでした。
しかし最終局面になると条件が整わず叶わなかったというのです。
その原因をこの夢で、
自分に「勇気がないから」と結論づけたと話してくれました。
勇気がないのであのとき自立が叶わなかったと。
6年前の夢で勇気がないと自分を断じていたのです。
ここからが性格を考えなくてはいけないのですが、
夢では友人と一緒に船に乗ることになっています。
この方が友人と一緒でないと船に乗れないのは、
一人で行動するのではなく、道連れが欲しいのです。
道連れは何を指すかといえば、
自分以外の人の同意が必要なのです。
あなたがやるなら私もと言ってくれる仲間が必要なのです。
賛同が欲しいのです。
賛同とは他人の承認です。
他人が賛同してくれて承認してくれると勇気が出て行動を起こせる。
その心のメカニズムをこの夢が教えてくれました。
行動を起こすとき、
他人の賛同も承認も称賛さえ必要がない性格の人はいくらでもいます。
でもこの方は他人の承認が必要で、
それを得られなかったので、
このとき自立を果たせなかったと考えたようです。
では夢に戻りましょう。
その友人は大事な時に化粧をして動こうとしません。
これはこの方が体面を気にする性格だからでしょうか。
体面(=化粧)を気にするから自立の行動に出られなかったと。
ここからさらに夢を深く捉えなくてはならないのですが、
自立とは、自律と一体に考えないといけません。
社会的に経済的に自立するには、
自律した心を持った社会に向けたペルソナが必要です。
つまり、化粧も必要なのだと後になって気付けます。
このときこの方が取ろうとした行動は、
他人の承認が必要であったのと同時に、
社会に向けたペルソナがまだ仕上がっていない状況だったのかもしれません、
この夢でこの方のエネルギーは、
他人の承認がその元になっていたとわかりましたが、
これでは行動に出てもエネルギーはすぐに枯渇します。
気まぐれな他人の承認をあてにし続けるわけにはいきません。
自分が自分に向けて承認するのでなければ、
エネルギーの補給は期待できません。
その意味で、
このときこの方が自立に向けた行動を取らなかったのは、
適切だったのかもしれません。
後日この方からいただいた感想です。
《夢について、自分は決断力が無いから船も出て行ってしまったと解釈していました。
夢の説明を受けて「承認」、という言葉にビックリしました。
そういえば、私は誰かに承認してもらう事で一歩を踏み出していました。
逆に承認してもらわないと踏み出せない人ですと
夢から教えられました。
勇気、決断力という言葉の芯の部分は誰かの承認を得なければ勇気が出せないという自分の内側の世界だったのですね。
これが私の魂の傷(トラウマ)の一つだと気づき
自分を頼りに行動をするというのが今後の課題でもあると解りました。
あとは行動ですね。
有難うございました。》
心温まる深い洞察をこのお便りから感じます。