
(富士山と江ノ島の上空に五角形の雲が)
前回、夢読解法シリーズのために、
「夢に取り掛かるための基本」として、
1:夢の主要な単語を拾い出す
2:変なところ(something strange)に着目して象徴を考える
3:夢を味わう
の3点についてお話ししました。
今回は「夢を味わう」について更にお話ししましょう。
夢は行動に移さなければ、
夢に取り組む意味はありません。
しかし行動に移すには、
夢の意味がわかり、
霊性こそ大事と生きる上で、
是非ともそれが必要な問題解決法なのだと納得できなくてはなりません。
納得するには理性だけではなんともなりません。
これが霊的に生きる上での鍵になります。
その筋道についてお話ししましょう。
例題としては、「津波」と「嵐」の夢を扱います。
「津波」も「嵐」も自然現象です。
水に関係しますから、感情の状態が普通でない、
平常心ではいられないことを示唆しています。
夢の象徴は科学的真実を包含しているので、
「津波」も「嵐」もその原因をまずは物理現象に求めましょう。
津波(つなみ、Tsunami)は、いまや世界共通語です。
津波は、地震や火山活動、山体崩壊に起因して、
海底・海岸地形に急な変化が起こり、
海洋に大規模な波の伝播現象が起きたものです。
つまり地表ないし海底地盤が崩れて、
それによって生じた急激な不規則活動が海底から表層に伝播し、
大波を作るのが津波です。
その津波の波が地上を襲い、
地上にある何もかもをさらい流してしまいます。
ではなぜ地形に変化が起きるのでしょう。
地をなしているプレートが動くからです。
なぜ動くのでしょう。
地盤も死と再生を繰り返しているからです。
有機体の地球は自ら死と再生を繰り返す事で、
地球として生きて有機体を保っています。
夢は真実からきます。
この外(そと)の現象と同じことが、
心の中に起きていることを意味します。
あなたの心の中の地盤になるところ、
地盤を成しているところ、
生きていく上で信条にしているところ、
わたしはこう生きていますという強い思い込み。
そんなこれまで自分が拠り所としている自分の身の処し方、流儀が、
最早役立たずになっているという知らせ。
それが津波の夢です。
その基盤が追っ付け脆く崩れ去ると、
魂は知っているので夢となりました。
ここでがっかりしないでくださいね。
変化は命ある有機体にとって命の証です。
変化は命あるものの必然なのです。
この知らせは変化の時を迎えているという喜ばしい知らせなのですから。
津波の夢は様々な形をとります。
津波に飲まれる。
津波から逃げる。
津波に船がさらわれる。
どんな形を取っても津波の夢は同じです。
それならばちょっとした津波の夢でも、
最悪事態を自分の夢で経験したとする方がパワフルです。
夢は霊性へのアドバイスですから、
霊性を磨く力をパワフルにしましょう。
だから最悪事態に向かう勇者と自分を仮定するところから、
夢に取り組みたいものです。
だから災難は大げさにイメージします。
しかしすぐに、取り組める人はいません。
それほど津波の夢は強力です。
さて、この夢の意味がわかったら、
あなただったら日常に戻ってどうしますか。
自分のやり方はもう役に立たないのです。
これを受け入れられますか。
津波の夢をみる人は多いです。
少なくはありません。
けれどその夢の伝えるところは、
自分の生き方処し方はもう役に立たないのだというのです。
到底受け入れられません。
それなのにどうして津波の夢をみるのでしょう。
あなたは困った問題を抱えています。
それも短い時間ではありません。
それ相応の長期間困った問題を抱えてきました。
夢は真実から来るといいました。
地震が起きるには、
地震や火山活動や山が崩壊するには、
長い時間をかけて受けた圧力を地盤自身が吸収してきたけれど、
この吸収力が限界に達したから地震が起きます。
この地球で起きる地震は、
プレートの運動が起こすものです。
有機体である意識ある地球は、
自分自身で死と再生を繰り返します。
いまハワイのキラウエア火山は大爆発を起こして、
再生をしています。
一方太平洋の端の日本は生まれたプレートが沈むところです。
これまで営々役に立ってきた生き方処し方を、
ここで潔く捨て去らなくては、
再生は叶いません。
実際津波に襲われたら、
人は呆然と立ちすくみます。
何もかも壊れ流され、
役に立ちそうなものは残っていないのです。
先の計画をすぐに思いつきますか?
唯々茫然とするしかありません。
実際津波の夢をみる人はこの時点で呆然としています。
ですから被害を受けて力なく弱ってしまった者になっています。
こういう人に叱咤激励は事態をさらに悪くするでしょう。
思考力もない自分を受け入れて、
じっと気力体力が戻るまで、
立ちすくみましょう。
心の内で何が起きているのか、
これから何が自分の心に起きるのか、
自分を眺めていましょう。
それが夢を味わうことです。
そしてこれが自分を癒すことになります。
あなたはいま冷静ではありません。
困った問題に翻弄され思考力がありません。
だからじっと立ちつくしてください。
あなたは困り果て抜いて、
その挙句にあれこれと事態改善に必死で取り組みました。
けれど、そのどれもが失敗したのです。
だからこれ以上動いてはいけないと津波の夢を見たのです。
納得されると思います。
身近な人との軋轢が原因です。
あなたは身近な人を自分の価値観に取り入れたいと願ってきました。
自分の方がまだマシと思うので、
その人に代わって考えたと思っています。
自分の考えが最善と思っています。
確かにそうでしょう。
あなたは理論的に正しいかもしれませんが、
相手の霊性の学びの道は、
あなたの想像をはるかに超えたところにあります。
その人の霊的道は、
その人特有の道です。
どんなに親い人でも、
侵してはならない特別仕様の道なのです。
その人と神が約束した道なのです。
その人を信じるのではなく、
その人と神との約束を信じて、
今までのような関わりは持たないと思えるところまで、
夢を味わい、
その時の恐怖に打ち震え、
なす術なく立ちすくむ自分を味わってください。
これが夢を味わうことです。
自分が人生の津波に飲み込まれて、
右往左往しているのだと合点できて、
その自分を認め受け入れ、
そのうちにそんな自分に飽きて、
じんわり力が戻ってくるのを感じるでしょう。
そうなったら人の話にも耳傾けられ、
内省も進み、
知恵も浮かんで、
簡単なところから取り組めるでしょう。
味わい尽くすと自然にここに到達します。
次に、「嵐」の夢を紐解くと、
雨が後から後から降ってくるわけで、
実際心の中は泣きっぱなしです。
気分も嵐で荒れに荒れています。
自分は誰にも構ってもらえない。
或いは特定の人に大切にされていない。
その思いが募って悲しくて寂しくて泣いています。
激情に駆られているのは、
「津波」も「嵐」も同じですが、
「津波」は生きる信念を変えることと忠告されているのに、
「嵐」の方は、
自分が泣き叫んでいるのを理解するようにという忠告です。
自分のいまの感情を知りなさい。
認めなさい、というのです。
「嵐」は身近な人に理解されない、
ないがしろにされているという寂しさの叫びです。
これもあなたが感情的になっているので、
このまま動くのは事態を悪くするだけです。
寂しいんだ。
辛いんだ。
ひとりぼっちと思っているんだ。
と、泣いている自分に気づく努力をします。
こういう時、
顕在意識ではその身近な人に、
そっちがそっちならこっちはこっちだと、
イジケがちです。
しかし向こうも泣きの涙で案外、
寂しいんだ。
辛いんだ。
ひとりぼっちと思っています。
「嵐」の夢で、
情緒不安定な自分に気付ければしめたもの。
ここでは奮起せず、
心の中の涙を堪能しましょう。
やがて気負いのないあなたのオーラを見て、
身近な人は心の鍵を開けてくれるかもしれません。
少なくともあなたが解いた構えの何分の1でも、
あちらも気負いを解いてくれるでしょう。
あなたがこれまでは戦闘的であったことを知ることになるでしょう。
夢を味わうという効用は、
まだまだありますが、
夢の偽装工作解除法の中で、
夢に凝縮されたものを連想していく解除法があります。
夢を思い出して、
つらつらそれを考えて、
ふと、字面では解けないと思ったとき、
夢を反芻しながら味わうのです。
愛しいものをなでるように。
すると連想が偽装を解いてくれるように働きます。
先日わたしは夢で、
【二人の人に別々に、
別々の内容を言わなくてはいけないことを、
別々に言います。】
内容も違うし、
それぞれとわたしとの関係もあります。
ここ数ヶ月それが引っかかっていた案件だし、
言える自分になりたいとも願ってきたし。。。。。
目が覚めて、
夢の通り言えばいいのだと思ったのですが、
そうではないと気づきました。
実はそれを伝えるにはまだ時間がかかります。
(注:相手が受け入れられるまで待たないといけないので)
しかし夢を見たことで、
重荷が少しずつ失せているのを感じています。
この夢を味わっている間に、
ひとりの方に夢の中で、
「普段ならそんなことで怒る人ではないのに、
怒っているのね」と穏やかに言えた自分に気づいたのです。
怒っている人に、
あなた怒っているのねというと、
案外その人の怒りを鎮めることができます。
それと自分が穏やかに言えたことが、
夢の重要なところだとわかったのです。
いつか穏やかに言える時が巡って来るでしょう。
しかしこれも日を追うごとに、
口に出していうべきこととは思えなくなりました。
このニュアンスを伝えるのはかなり難しいのですが、
相手に伝えることが重要ではなく、
これは自分のハートでの感じ方なのだと知ったのです。
夢を味わうことがなければ、
ただ伝えれば良いと思ったかもしれません。
しかしいまは待とうと思っています。
感情はハートと直結しています。
感情のうねりは、
自分の霊性の有りようを教えてくれます。
何故かと言えば、
感情には喜びも悲しみもあり、
悲しみは怒りと表裏一体です。
怒りは怒ったところがあなたの霊性の有りようです。
怒ったそこがあなたの霊性なのです。
あなたはその自分の怒りから学ばなくてはいけません。
それがハートが自分がどのように霊性を使っているかの知らせです。
ですから夢を理論的に解釈しても、
伝えたいことを汲めるかどうかはわかりません。
ではまとめましょう。
今回は「夢に取り掛かるための基本」として、
「夢を味わう」を取り上げました。
それには、
夢を味わうことと、
偽装工作解除法の連想と、
理性では処理できないものは霊性、つまりハートがどう感じるかで、
夢を紐解いていきましょうというお話をしました。
という訳で、
わたしは時期を待つことにしました。
もちろん「津波」を夢に見た人も、
行動に出られるまで4、5ヶ月は待つことになるでしょうし、
「嵐」を夢見た人も、
夢が伝えたいメインは感情を感じることですから、
冷静になるのに最低2、3ヶ月は掛かるでしょう。
後は、状況がどのように変わるか楽しみにしてください。
夢を受け入れた時、
恐れが少なくなり、
人生は安穏になります。

(夕陽を受けた)紫陽花